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バンドン市は，インドネシアのジャワ島，西ジャワ州の州都です。首都ジャカルタから東南に約200km，標高700〜900�bに位置する高原都市であり，冷涼な気候に恵まれています。バンドン市の人口は251万人（2004年），インドネシアでジャワ人に次いで人口の多い民族であるスンダ人が生活し，スンダ語が話される「スンダ地方」の中心地です。
　植民地時代には，政治・経済・文化の中心地の1つとして発展し，また快適な住環境でもあったことから「ジャワのパリ」と呼ばれ，多くの外国人が居住していました。歴史的には，1955年4月に開催された「第1回アジア･アフリカ会議(通称：バンドン会議)」で知られています。現在は，急速な都市化・産業化に伴い，大気汚染，水質汚染，廃棄物処理などの様々な環境問題を抱えています。
　本プロジェクトの調査対象地域は，バンドン県（バンドン市の周辺地域。首都：ソレアン，人口：413万人）のチタルム河流域にあって生態学的条件と生業の異なる3村です。
　人類生態学教室では，1970年代後半から80年代前半にかけて，鈴木庄亮（現・群馬産業保健推進センター），五十嵐忠孝（現・京大・東南アジア研究所），高坂宏一（現・杏林大学），門司和彦（現・長崎大・熱帯医学研），兵頭圭介（東大・教養；現・大東文化大）の各氏が同地域を中心とする西ジャワの複数の農村において，人類生態学・保健生態学調査を展開し，生業活動，人口動態，食生活，環境などの解析を行いました。調査は，パジャジャラン大学生態学研究所の当時の所長Otto Soemarwoto氏をはじめとする同研究所の研究者と共同で行われ，現在の協力関係の礎となりました。2003年以降大塚柳太郎（前教授），渡辺知保，田中美加，リンダデワンティ，関山牧子，富山県衛生研究所の新村哲夫，中崎美峰子，パジャジャラン大学生態学研究所のOekan Abudollah，Budhi Gunawan，ならびに同大医学部IevaAkbar各氏との共同研究として，水系の化学物質汚染と学童の健康に関する人類生態学的調査を実施しています。最近の研究成果は下記のとおりです。

• 関山牧子・田中美加・新村哲夫・中崎美峰子・渡辺知保 (2006) インドネシア西ジャワ農村における農薬曝露状況の検討（その1） 第76回日本衛生学会総会, 山口．
• 田中美加・関山牧子・新村哲夫・中崎美峰子・渡辺知保 (2006) インドネシア西ジャワ農村における農薬曝露状況の検討（その2）　第76回日本衛生学会総会, 山口．
• Mineko Nakazaki, Tetsuo Shimmura, Tetsuo Aratani, Makiko Sekiyama, Chiho Watanabe　(2005)　Biological monitoring of organophosphorus pesticide exposure among children in rural communities in rural communities of Western Java, Indonesia.　The 10th Asian Congress of Agricultural Medicine and Rural Health, Tochigi, Japan
• Tanaka M, Sekiyama M, Shimmura T, Nakazaki M, Watanabe C, Abdoellah O, Akbar I, Parikesit, Gunawan B, Salim H, Masaja S, Benito Tb (2005) Exposure to Organophosphorus Pesticides among Children living in Agricultural setting in West Java, Indonesia. The 3rd Conference of International council of community health and nursing, Tokyo, Japan.
• 関山牧子・田中美加・新村哲夫・中崎美峰子・大塚柳太郎・渡辺知保 (2005) インドネシア西ジャワ農村における農薬汚染と学童の健康に関する人類生態学的検討 第75回日本衛生学会総会, 新潟．
• 中崎美峰子・新村哲夫・荒谷哲雄・関山牧子・渡辺知保 (2005) インドネシア小児における有機リン系農薬の尿中代謝物検出状況 第75回日本衛生学会総会, 新潟．
• Parikesit, Salim H, Triharyanto E, Gunawan B, Sunardi, Abdoellah OS, Ohtsuka R (2005) Multi-source water pollution in the Upper Citarum watershed, Indonesia, with special reference to its spatiotemporal variation. Environmental Science, 12: 121-31.
• Sekiyama, M. and Ohtsuka, R. (2005) Significant effects of birth-related biological factors on preadolescent nutritional status among Sundanese in West Java, Indonesia. Journal of Biosocial Science, 37: 413-426.