研究代表者:東京大学大学院医学系研究科人類生態学教室教授 渡辺知保

中国をはじめとするアジア諸国の農村部では,在来農耕から換金作物栽培への転換が急速かつ広範に進行しています。こうした農村の市場経済化は,農薬や食品添加物など化学物質の地域生態系へ放出・蓄積という側面をともない,農村部に居住する住民の健康・生存の持続性に影響することが懸念されています。
 本研究課題は,プロジェクトメンバーがこれまで調査経験を有するアジア地域の6カ国(バングラデシュ,インドネシア,中国<海南省/雲南省>,ベトナム,パプアニューギニア,ネパール)の約30村落を対象に,生業転換を引きおこす要因(例えば,農業・環境政策),生業転換の程度,その環境影響(特に化学物質の蓄積と健康リスク)を記述的に整理し,さらには統計解析による生業転換の要因分析を通して,アジア地域において進行する生業転換と化学環境転換との相互関連性を明らかにすることを目的としています。化学物質の探索的定量には,熊本県立大学の有薗幸司教授が稼働させている約500種類の化合物を同時に定量できるシステムを応用する予定です。
 アジア農村部で将来的に深刻化する化学環境の転換という問題に貢献することが期待されます。


プロジェクト概念図
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